オリエント急行の殺人

古本屋で買ってきたので若干古い版で読みました。
クリスティを読むのは『アクロイド殺し』に続いてまだ2作目ですが、
さすがクリスティ、というしかありません。


こういう仕掛けもどこかにあるのだろう、とはなんとなく思ってはいたのですが、
まさかこの古典で出てくるとは思っていませんでしたので、
上手く踊らされることができました。
もっとも予備知識がなければなかなかわかるようなものではないのでしょうね。
アレンジをしてもなかなか何度も使えるものではないだけに、
これを思いついて形にできる、というだけで素晴らしいです。


結末は全てスッキリする、というわけにはいかないのでしょうが、
こういう話にはこういう割り切れないままスッと終わる結末が綺麗ですね。
というより、2時間ドラマのようなものはどうも好きになれないのですが。


英、米、伊などの国民性がいくら何でもそれは、というほど
ステレオタイプな描かれ方をしているのは、
気になる云々を通り越して面白くなってきますね。
どうやらこの作品だから、ということでもなさそうですし、
その点でも「さすがクリスティ」と思って読むのがいいのかな。


あと、まったく訳注がつかない書式なので、
わからない単語がいくつか出てきたり、
何とかわかっても馴染のない表記で書かれていて
違和感バリバリだったのは気になりました。
地名が多く出てくるだけに地図もあってほしいですし、
固有名詞くらいは注があっていいのではないでしょうか。
現行の版や他の出版社だとどうなんでしょうね。